中国主要紙の論調にはそれがにじんでいた。中国共産党の機関誌、人民日報(海外版)は年明け間もない(1月)4日に、「東南アジアよ、どうして安倍に対して押し黙っているのか?」と題した記事を掲載。「強烈な抗議」をした中国・韓国や、「失望」を表明した米国を対比させつつ、「第二次大戦中、日本による被害を受けたはずの東南アジアが、個別のメディアが道理にかなう厳しい社説を発表した以外、多くの国々は声を上げていない」と指摘した。
中国の期待に沿った「安倍批判」をしない他国に不満を示したわけだが、折しも、中国は南シナ海に外国漁船の操業を規制する区域を一方的に設定したばかり。中国との間に南シナ海の島々をめぐる領有権問題を抱える東南アジアの国々にとっては、日本の過去の「歴史」よりも、中国の挑発行為という差し迫った課題が重要であるはずで、中国が望む反応が出ないのも無理はない。
日本も対外発信力を
人海戦術を駆使する中国の攻勢を前に、日本の対応は後手に回っている印象だが、それでも米国、豪州、カナダなどいくつかの国で日本の大使が地元メディアに寄稿し、反論を開始した。