≪生命が循環する海と山 自分をリセット≫
「2つ目の窓」の撮影で奄美大島に入ったのは昨年(2013年)8月中旬でした。10月31日のクランクアップまでの2カ月半を奄美大島で暮らしてみて、自分の中にグッと飛び込んできたのは潮騒、海ですね。奈良では感じられないものだから、余計に印象的だったんでしょう。でも海と山の両方が奄美大島にはあるんだということが分かってきて、そこに生命の循環があるんだと気づきました。
山の水源地が川になり、海に注いで、奄美大島ではその川道を神道と呼んでいると聞きました。神が通る場所であり、育まれる場所なんです。ネリヤカナヤ(奄美地方の方言で「海のかなたの楽園」の意味。古より人間に豊穣(ほうじょう)をもたらす神がいると信じられてきた)の思想では、海のかなたにも世界があって、先人たちが守ってくれているという感覚があるんです。太陽も、月も、海も、空も、全部が一体となっている世界に、自分が存在させてもらっている感じなんです。