ヤシ酒の収穫を終えた男たちに連れられて、近くの先住民の村にカヌーで渡った。この村でウワマと名乗る一人の老女に会った。彼女の息子、アンボロは40代。モンジョンボが言う「村暮らしの連中」の一人で、WCSの事務所でメカニックとして働く。最近建てたレンガ造りの新居が自慢で「森の中では暮らしたくない」と言い切る。
「村に住んでいても、ちゃんと仕事をしてくれていればいい」とウワマもためらいなく言い、アンボロを頼もしげに見つめる。
森林伐採や象牙目当てのゾウの密猟などによって北コンゴの森の恵みは脅かされ、急速に変わる世界の中で森の知恵は失われつつある。
果たして今から10年後、20年後にも、ヤシの木に穴をうがつ音と男たちの笑い声は、この森の中に響いているだろうか。(敬称略、共同/SANKEI EXPRESS)