クリスティー氏はこれまでも大統領選への出馬が期待されてきたが、今回の勝利で「大統領選候補のフロントランナーの一人になった」とみなされるようになった。自身はまだ出馬を明言していないが、今後も「大統領選で勝てる候補」として注目が高まることは間違いない。
しかしクリスティー氏のような穏健派に対しては、茶会や保守派から「主張を曲げて当選することにどれほどの意味があるのか」との批判もある。また共和党の大統領候補になるには党内の予備選を勝ち抜くことが必要で、クリスティー氏は党内の支持を受けるためには保守寄りのスタンスを取らざるをえなくなることが想定される。しかしそのことが大統領選本番で「主張がぶれている」との批判を招く可能性もある。
共和党は12年の大統領選挙で、民主党の牙城であるマサチューセッツ州で共和党穏健派として知事を務め、経済運営の手腕が期待されたミット・ロムニー氏(66)を擁立したものの、オバマ氏に投票人数で大差をつけられて破れた経験もある。共和党にとっては茶会や保守派、穏健派が一致して支持できる候補者が理想的だが、有力な該当者は見つけられていないのが現実だ。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)