また、2014年は政府が女性管理職登用など女性活躍推進を呼びかけたこともあり、仕事と生活の両立支援を打ち出す企業に女子学生だけではなく、男子学生の応募も増加した。
当時の採用面接で男子学生から「御社の育児休業期間はどれくらいですか?」と聞かれて驚いた人事担当者もいた。おそらく両立支援策が充実している会社ほど「社員にやさしい企業」だと考えたのではないか。
そして今年は少し前にしばしば取りざたされたブラック企業と併せて、電通の長時間労働問題が連日のように大きく報道されたこともあり、働き方に対する関心が高まっている。
すでに大学での説明会に参加した食品会社の人事担当者はこう語る。
「会社の事業内容や仕事のやりがいなどについて話しても、学生からは『定時に帰れますか?』『残業時間はどれくらいですか?』『社員の有給休暇の取得率はどのくらいですか?』という質問が圧倒的に多かった。明らかに去年とは風向きが変わっている」
「労基署の是正勧告を受けたことありますか?」
確かに、過労自殺した電通の女性社員は入社後半年余りだっただけに学生にショックを与えた可能性もある。
1995~96年生まれの学生の中には、第1次電通自殺事件を知らない者も多く、有名な大企業でもそんなことが起きるのかと志望企業の労働時間や残業時間に敏感になっても不思議ではない。