24時間フル稼働の運輸業や発注先での常駐勤務もあるIT・ソフトウェア業界だけではなく、取引先・顧客に対応する営業や販売主体の業種では定時に帰ること自体が難しい。残業が多いことを理由に短期間に辞められては困るという“予防措置”もあるだろう。
もうひとつはこうした業種も含めて、残業が常態化し、場合によっては長時間残業が蔓延している企業かもしれない。その背景には人手不足もあって業務量が異常に多いという事情もあるだろう。
いずれにしても「残業はできますか?」と聞いて「はい、できます」との答えを得る(できませんと言う人はほとんどいないだろう)ことで、長時間残業で音を上げても「きみはできると言ったよね」という“証拠”にしたいに違いない。
だが、今年の就活戦線では企業の「残業できますか?」という質問は墓穴を掘ることになりかねない。
なぜなら、今年の就活学生の最大の関心事は企業の「働き方改革」の取り組み、とりわけ長時間労働にあるからだ。学生は新聞、テレビ、Webのニュースに非常に敏感であり、就職先選びにも大きな影響を与えやすい。
「定時に帰れますか?」「有休の取得率は?」
とはいえ、その傾向は何も今始まったわけではない。
たとえば2006年にライブドアの元社長の堀江貴文氏が逮捕されたとき、マスコミが盛んに報道した影響でWebなどIT系企業が悪者扱いされ、IT業界を志望する学生が激減したこともあった。