実践力育てる
再就職を目指す女性の学び直しの受け皿となる大学はこれにとどまらない。関西学院大学(兵庫県西宮市)は08年に経営戦略研究科に女性再就職支援の「ハッピーキャリアプログラム」を設け、15年には女性リーダーシップ育成コースを新設した。明治大学(東京都千代田区)も同年、「女性のためのスマートキャリアプログラム」を開設している。いずれも職業実践力育成プログラムに認定され、講師陣には多くの企業人をそろえるなどより実務的な教育に力を入れる。
女性が再就職を目指す事情はさまざまだ。日本女子大でリカレント教育課程を受講する40代の大和田のぞみさん(仮名)の場合、10月に年金や健康保険の社会保険料がかかる収入基準が130万円以上から106万円以上に引き下げられた、いわゆる「106万円の壁」が応募のきっかけだった。大卒後に設計職で採用されながら、夫の海外赴任に伴い入社2年目で退社し、5年前から今年春まで非正規で働いてきた。「1年契約で、昇給もない。このニュースを知り、むしろしっかり働いて自分のキャリアにつながる仕事を正社員でできれば」と応募を決めた。2万円の入学金と年間24万円の受講料は失業保険でまかなえているという。
高いキャリアを持ちながら離職した女性がスキルアップで新たにキャリア形成を目指す動きは一段と広がっている半面、日本の学び直しの支援策は欧米に比べて手薄とされ、さらなる政策の拡充が求められている。(鈴木伸男)