■自分を奮い立たせている
「辞める」と言いながら、3年間もいる人は、自分を奮い立たせているのだ。つまり、「よし、辞表を出すぞ!」と言い聞かせている。会社を辞めることに慣れていない人は、辞表を出すことで緊張する。委縮し、上司や人事部ときちんと話し合うことができない人もいる。「辞める」「辞める」と繰り返すことで、自分にカツを入れているのだ。「俺は、辞めることなんか、怖くないぞ」と言いきかせているのだろう。「辞める」と言って辞表を出し、退職するまでは、通常、上司や人事部も機械的に、事務的に対応することが多い。そうでないと、業務が進まないからだ。つまり、一人の社員の退職のことまで真剣には考えていないのだ。そんな時間も心の余裕もない。ところが、辞めることに慣れていない人は自意識過剰になり、深刻に考えてしまう傾向がある。
■上司へのSOS
「辞める」と何度も繰り返し、3年間もいるのは、上司や会社へのさりげない抗議とみることもできる。例えば、人事の処遇や担当する仕事、その量やノルマ(目標)などについて不満がある。ところが、面と向かい、言えない。そこで「辞める」と口にし続けることで、自分の意見や考えを受け入れてもらおうとしている可能性がある。「俺の不満を聞いてくれ!」「私をもっと認めて!」と言いたいのだろう。「辞める」と言っていれば、上司の自分への対応が変わると思い込んでいること自体に問題があるのだが、それもわかっていない。