ここにて、それを検討してみましょう。
文科省の『全国学力・学習状況調査』から、子どものいじめ意識を都道府県別に知ることができます。「いじめは絶対いけない」という項目に、「どちらかといえば、そう思わない」ないしは「そう思わない」と答えた者の比率です。この値は、いじめを容認する生徒の比率と読めます。
図3は、横軸に先ほど明らかにした正社員のブラック就業率、縦軸に公立中学校3年生のいじめ容認率をとった座標上に、47都道府県を配置したグラフです。
明瞭ではありませんが、ブラック就業率が高い県ほど、中学生のいじめ容認率が高い傾向にあります。相関係数は+0.3655であり、5%水準で有意と判定されます。
他の要因を介した擬似相関かもしれませんが、因果の可能性も否定できません。
よく言われるように、子どもは大人社会の鏡です。ブラック企業がしていることは「いじめ」そのものですが、それがはびこっている地域ほど、子どものいじめ容認意識が高くなるというのは、肯けることです。図3の横軸に、中学生の親世代のブラック就業率を据えたら、相関はもっと強くなるのではないでしょうか。