正社員のうち、年間300日・週60時間以上就業している者の割合を都道府県別に出すと、最低の2.5%(富山)から最高の5.5%(北海道)までの開きが観察されます。これは両端ですが、3つの階級幅を設けて47都道府県を塗り分けると、図2のようになります。ブラック就業マップです。
黒色の分布をみると、近畿地方にやや多いというくらいで、明瞭な地域性はみられません。東京や大阪がブラックなことから、都市部で率が高い傾向のようにも思えますが、そう単純な話でもないでしょう。
都市か地方かという基底的特性よりも、各県の労働行政のガンバリ度の差かもしれません。これは、政策によってブラック就業を減らせるという、希望的な事実です。
ブラック就業がはびこる地域は「いじめ容認」傾向
ブラック就業は、労働者の人権侵害の問題ですが、それだけにとどまるものではないでしょう。そうした大人社会の歪みは、未来を担う子どもたちの人格形成にも影響するのではないか。私は前々から、こういう仮説を抱いています。