残念ながら現状は外国人客の受け入れ体制は十分とはいえない。地域活性化センターの2014年度調査によれば、外国語ができるスタッフが常駐している店はごくわずかだし、飲食メニューやホームページを日本語以外の言語でも展開しているのは全体の1割程度に留まっている。支払いの際に国際クレジットカードが利用できない店もあるし、中国でクレジットカードと同等に扱われている「銀聯(ぎんれん)カード」が使える店も限られている。
弾みをつけようと、同センターは今年2月、飲食店情報サイト「ぐるなび」、東京メトロと共同で都内のアンテナショップの一部を試験的に紹介する英文冊子「ローカル・スペシャリティ・ショップス 2015」を作成した。地図上で各アンテナ店の位置を示し、飲食コーナーを併設しているかどうか、ネット接続環境の有無、免税店かどうかなどを表示している。冊子は銀座や日本橋など東京メトロの主要駅などで配布し、スマートフォンなどでも情報を入手できるようにした。
地方ではすでに訪日外国人客を対象にした取り組みが始まっている。鹿児島県商工会連合会が鹿児島市最大の繁華街、天文館はいから通り沿いで運営するアンテナショップ「かごしま特産品市場」 では消費税の免税販売に着手。新関西国際空港会社などが設立した「関西フードエクスポート&ブランディング協議会」も、来年夏、大阪・難波に関西の「味」を集めた訪日外国人向けのアンテナショップを開店する計画だ。都内のアンテナショップも体制整備を急ぐべきだろう。