訪日外国人客の増加が加速している背景には、これまでの定番だった東京や京都といった「ゴールデンルート」にとどまらず、クルーズ船で地方の街を訪れたり、各地のラーメン店を巡る外国人が増えるなど、日本観光の内容が多様化していることが挙げられる。
「わずか数時間で店から商品がなくなった」
7月、鳥取の小村に異変が起こった。人口3450人の日吉津村(ひえづそん)の商業施設「イオンモール日吉津」に村の人口を超える約4000人の中国人観光客が120台のバスで押し寄せ、医薬品や紙おむつなどを買いあさったのだ。寄港時間はわずか8時間だったが、地元には億単位のカネが落ちたようだ。
その理由は、鳥取・境港に寄港した世界最大級のクルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」。乗客定員は4905人で日本籍最大の「飛鳥II」の5倍。全長348メートルの威容はまさに洋上に浮かぶ“怪物”だ。米ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが6月から上海を母港に日本などを巡るクルーズ船として就航させた。