また、汁物は具材として野菜を効率的に摂取できるため、その栄養バランスのよさも肥満の抑制に作用している可能性があると指摘する。
水質よい国ゆえ
2013年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に和食が登録された。その申請に際し、一汁三菜の和食はワンプレートの食事に比べ、栄養バランスが理想的で動物性油脂が少なく、長寿や肥満防止に寄与してきたことを特長として位置づけた。
和食の健康効果について研究している東北大大学院農学研究科の都築毅准教授によると、汁物をはじめとする「煮る」調理法は、きれいな水が手に入りやすい日本で特に発達してきた。しかし、食文化の変化により、1980年代から油を多用する「揚げる・炒める」方法が広まったという。
「煮る」調理法の利点について都築准教授は「水の沸点が100度のため、数百度の高熱にさらす揚げ物や炒め物に比べ、材料の成分が壊れたり酸化することが少なく、健康的」と解説する。