ストレス過多の現代社会において、心療内科や精神科の果たす役割は大きい。最近の研究では、慢性疼痛などこれまで整形外科の範疇と思われていた“痛み”についても、ストレスが深くかかわっていることが分かってきた。ますますストレス予防に注目が集まる中、名称からメンタルを外してストレスクリニックに変更する医療機関も現れた。
「敷居を下げて相談しやすくしたかった。鬱病に至ると治療が難しくなる。早い段階で治療を受けてほしい」。今年9月に「新宿メンタルクリニック」から改称した「新宿ストレスクリニック」(東京都新宿区西新宿)の川口佑院長が話す。
鬱病治療のイメージが強いメンタルクリニックという名称に反発して、「病院に行くほどではない」と患者が自分で判断して来院に至らないケースが多いとみていた。改称後に電話相談が増えたこともあり、気軽に相談できる環境になったという手応えを感じている。
同クリニックは米食品医薬品局(FDA)が鬱病治療に使用を許可したTMS(経頭蓋磁気刺激)治療の医療機器を国内最大となる63台保有する。保険適用外のため患者の経済的負担は少なくないが、これまでに1000例近くの症例を診て、鬱病の重症度を評価するHAMDスケールでは軽症化率が80%に達するなど目覚しい成果をあげてきた。