職場などでの性的嫌がらせを意味する「セクシュアル・ハラスメント」が平成元年に「新語・流行語大賞」で金賞を受賞し、一般に知られるようになって四半世紀余りが過ぎた。今では各職場でセクハラ防止対策が徹底されるなど社会の意識は高まったといえるだろう。ただ、個々のケースで事業主側が、被害者や加害者にどんな対応をとればいいかという点にはまだ課題が残されているようだ。
京都市の臨時職員だった女性が5月、市を訴えた訴訟では、「女盛りやな。年齢的にも身体的にも」といった性的発言を繰り返した上司に対し、市が書面注意にとどめたことについて、女性側は組織としての市の対応を問題視する。
最高裁は今年、大阪市港区の水族館「海遊館」が、女性従業員にセクハラ発言を繰り返した男性管理職2人に対し、事前警告なしに出勤停止とした懲戒処分を「妥当」と認めた。京都市のケースは、最高裁の厳しい判断に逆行する“甘い処分”にも映るが、果たして適切な対応とは-。
被害女性、京都市を提訴
京都市のケースでは、原告は京都市の臨時職員だった30代の女性。女性は「被害を相談したが、適切な対応をしなかった」として市を相手取り約360万円の慰謝料の支払いを求めている。