ちなみに、あとがきにはもっと素晴らしいことが書かれている。「株式配当収入では、所得税、住民税含めて20%しか課せられません。つまり住民税分を差し引けば、配当収入の所得税というのは15%に過ぎません。株をたくさん持っている大金持ちは、どんなに配当収入があっても、所得税は15%で済んでいるのです。これほど株主を優遇しているのは先進国でも異常です」。
「もし、日本の所得税が先進国並みに普通に課税されていれば、つまり、富裕層が普通に税金を払っていれば、こんなに財政赤字は膨らんでいないし、消費税の増税も相続税の課税対象拡大もまったく必要ない、とさえいえるのです」
これが日本の税制の実態なのだ。そして、節税のため資産を海外に移転させる「資産フライト」を推奨するような風潮をこう戒める。
「そもそも金持ちの資産というのは、日本の国から取得したわけであり、日本という国の治安が良く、産業力もあったから、得ることができた資産です。その人の努力だけで獲得したものではありません。だから、一定の資産を、死んだときに国に返すのは、当たり前のことだと、筆者は思います。そうしないと貧富の差が次世代に引き継がれますからね」
格差社会の“本質”が見えたような気がした…。