この本の編集を担当した小学館出版局新書編集室の小川昭芳(おがわ・あきよし)副編集長(52)によると「本の企画は1年以上前で、これまでのような税理士さんや弁護士さんが書いた堅い内容ではなく、かつて税金を取り立てる側だった大村さん書いてもらえれば違った視点で興味を持ってもらえると思い執筆を依頼した」とのこと。
その狙いは的中したようで、読者からは「節税=不動産購入orアパート経営という不動産会社のを新聞広告などで見て、そうなのかと漠然と考えていたが、この本を読んで安易に手を出すと痛い目に遭う、ということがわかった」「節税策についても目から鱗(うろこ)」といった意見が寄せられているという。
実際、読んでみると、事実は巷で言われていることと大きく違っているという印象を受け、確かに“目から鱗”。そして「相続対策は慌ててはいけない」ということが良く分かる。
しかし、この本の真に優れているところは、単なる相続税に関するハウツー本ではなく、日本国の税制について鋭い問題意識を持っていることに尽きる。
大村さんは本の中で「相続税とは、日本の資産ピラミッドの頂点の4%の人たちだけにかかる税金」で「今回の税制改正で課税対象者が1・5倍程度になると見られていますが、それでも国民の6%に過ぎない」と訴える。