ちなみに、早朝5時台からの放送に合わせて、現在の起床時間は午前2時。生放送に対応できる最低5時間の睡眠を確保するため、午後9時には寝るように心がけている。
勝負のプレゼンや大きなビジネスの前日は、心配のあまり遅くまで悪あがきしがちだが、十分な睡眠を取ることをお勧めしたい。高い脳のパフォーマンスに基づく臨機応変な対応は、得てして好結果になるものだ。
【POINT03】《好感度アップ法》第一印象は事前の準備で操作できる!
ビジネスマンにとって第一印象は大切なポイントだが、常に人の目にさらされるアナウンサーならなおさらのことだろう。桝さんは、相手に良い印象を与えるには、自分自身に対して注意すべき点と、相手に対してすべきこと、両面があると言う。
「自分に関しては、何より“背伸びをしない”こと。インタビューなどをしていて、背伸びをした時ほど、相手に見透かされてしまいます。元来が知ったかぶりをする性格なので(笑)、その癖を直そうと努力しているところです。
勇気を持って、『等身大の自分はこの程度です。いかがですか?』と、見せたほうが誠意が伝わり、結果的に好感度も上がるのではないでしょうか」
さらに、初対面の相手は、徹底的に調べることだという。
「このように取材を受けさせていただくこともありますが、事前に知ってくれていることがあるとやっぱりうれしいものです。
自分が取材をしていて、『ゴルフお好きですもんね』という合いの手ひとつで、驚くほど会話が弾むことがあります。
実は“第一印象を操作するのは、その前にある勉強”だと思っています」
事前の準備で第一印象は操作できるのだから、徹底的なリサーチで好感度は高めたいもの。
【POINT04】《組織の中で評価される技術》いちばんスポットの当たっていない場所を探す
アナウンサーの仕事で最も大切なのは、「自分がどの立ち位置にいれば、いちばんうまくいくかを判断すること」だと語る。
「野球でいうと8人が守備位置についている状態で、最後にポジションにつくことになります。右中間が空いていれば、そこを守るし、キャッチャーがいなければその役割をこなします。空いているポジションを瞬時に見極めて、その役割を埋めることが求められています」
そして、組織人としても同じ考えに基づいて行動している。
「あえてみんなとは違う方向に目を向け、常に“いちばんスポットの当たっていない場所を探す”ようにしています。
例えば、番組の反省会で誰かが褒められたなら、ほかにも陰で貢献していた人がいるはずだと考えるんです。そして、反省会が終わったら、その人に『よかったですよね』と一声かけるようにしています。ちょっとしたことですが、これだけでチームがうまく回るならこんなにうれしいことはありません」
どこに自分が身を置けば、うまく仕事が回るのかを判断すること。そして、仲間に対するちょっとした気配りは、すべてのビジネスマンに必要なスキルだ。第一線で活躍するアナウンサーの言葉には、実践で役立つ仕事術だけではなく、組織を生き抜くヒントもつまっていた。