法定相続人が法定相続分を相続するのであれば問題は生じない。ただ、主な相続財産が不動産で自宅に相続人の1人が住んでいる▽長女が親の介護をしていた▽事業を引き継ぐ長男がより多く相続する-ケースなどでは分割方法をめぐり、もめる可能性がある。
「『うちは家族仲が良いから大丈夫』と安心はできない。結婚していれば各家庭の事情があり、『もらえるものはもらいたい』と思うのが人情。相続を『争族』にしないためにも、家族が集まれるタイミングで話し合っておきたい」(清田税理士)
節税対策には、暦年贈与や子供への住宅取得資金援助、孫への教育資金援助を非課税枠内で行い、相続財産を減らす、などの方法がある。この場合も不公平感を残さないため、事前に話し合っておくことが重要だ。
父親など財産を残す側がやっておくべきことは、財産内容の把握と評価額の試算。預貯金や有価証券などの動産、自宅や店舗、賃貸マンションなどの不動産、生命保険契約、住宅ローンや借金などの負債の内容をまとめる。続いて相続財産の評価額を試算するが、有価証券などの評価額は変動し、預貯金や負債の額も増減するため概算で大丈夫だ。