ところが、患者団体が提案に猛反対。がん患者23団体有志は「有効性と安全性が担保されない自由診療の放任や、国民皆保険制度のなし崩し的な空洞化につながりかねない」と、田村憲久厚労相らに反対の要望書を提出した。
こうした動きを受け、規制改革会議は4月16日、論点整理ペーパーを公表。対象になる治療を「国際的なガイドラインや学術論文があるもの」に絞り、安全性や有効性、患者に不利益がないかどうかを、「全国統一的な中立の専門家が評価する」と軌道修正した。
ただ、「安全性と有効性」と言いつつ、同会議は医療機関を限定することには否定的。背景には、がん患者が医療機関をはしごして保険外の治療を受けている現状を是正したいとの思いがある。
だが、当の患者団体からは不安の声が上がる。卵巣がん体験者の会スマイリーの片木美穂さんは「夢のような未承認治療も保険適用の抗がん剤治療もしてくれる医療機関があれば、患者はそこを選ぶ。そうなると、未承認治療を行う医療機関が、慣れない抗がん剤治療まで始めかねない。抗がん剤による突発事例に緊急対応できないような医療機関で治療を受けるのは、患者のためにならない」。