和歌山県のドクターヘリが昨年、運航開始から10周年を迎えた。これまで事故や災害時などに重傷患者や急病者を迅速に搬送し、紀伊半島の救急医療に大きく貢献してきた。今年2月には和歌山市内で報告会を開催。ドクターヘリの現状や今後の課題に迫った。(益田暢子)
紀伊半島豪雨でも活躍
「ドクターヘリでなければ助からなかっただろう」。急性大動脈解離やくも膜下出血など実際に搬送した患者の症例を紹介しながら、篠崎正博・岸和田徳州会病院救命救急センター長が、そう力を込めた。
2月に和歌山県立医大で開かれた「ドクターヘリ運航10周年報告会」。県内の消防や医療関係者、共同でヘリを運用する奈良県や三重県の関係者ら約200人が参加した。
報告会では、ドクターヘリ導入に貢献した篠崎医師が記念講演を行い、導入までの経過を説明。平成23年の紀伊半島豪雨では、被災地の傷病者搬送など19件の出動があったことも紹介された。