来年の通常国会で労働者派遣法が改正され、派遣制度が大きく変わる。政府の見直し案では派遣社員の働ける期間の上限などが緩和され、派遣会社が正社員にすれば無期限で同じ派遣先で働けるようになる。制度見直しの背景には、非正規雇用の増加に伴い派遣社員の雇用安定が急務となったことがある。一方で、見直しの狙いである雇用安定を奪われる派遣社員も現れかねず、新たな課題も浮かび上がってきた。
専門業務も一律に
「これからは派遣ニーズが高まる可能性がある」
今夏、政府の見直し案が明らかになると、派遣会社の間ではこんな期待の声が聞かれた。2010年の民主党政権による規制強化で「派遣は使いにくい」と企業の派遣需要は著しく低下。派遣社員は、08年の202万人から11年には137万人に激減した。派遣制度の自由度が高まる見直し案は需要盛り返しのチャンスといえるからだ。
現行制度は、企業が一つの仕事を派遣に任せられる期間は3年だが、政府案では人を替えれば何年でも派遣を使えるようになる。