そうした危険性はあるものの「最新のテクノロジーは悪用手段になり得るが、忘れてはいけないのは、それ以上に恩恵が大きいこと」と原田さんは言う。ポリゴンやGPSなど、もともと軍事目的で研究されたものが社会に広く普及したケースも少なくないという。
原田さんの開発チームは2012年からVR技術の研究を始め、14年に「サマーレッスン」を発表。同年には1000人を対象に、サマーレッスンのVR映像が与える影響などを調べる臨床実験も行っている。「1000人規模となると十分に有意差が出る実験。こうしたデータを、サイバーセキュリティなどに生かしていきたい」という。
「VRの高い効果は、善悪どちらにも有効な諸刃の剣と言える」(原田さん)