SNSで一定の効果?
東京一極集中が進む中、神戸市に限らず首都圏以外の政令市でもインターネット上で移住促進策を展開する。京都市は移住希望者の電話相談などに応じるサポートセンター「住むなら京都(みやこ)」を開設。静岡市は「さくさくっと東京へ」「なかなかの都会」などのフレーズでPRし、人口確保に力を入れ始めている。
「宿泊費無料」というインパクトで神戸市が進める事業は当初、市役所内でも「単なる観光ツアーではないか」との指摘があったという。最短3泊の条件も、休暇を取らない限り現役の会社員にとって参加のハードルは低くない。実際、参加者は在宅で仕事ができたり、転職活動中だったりする人が多かった。
ただ、この事業の成果はなかなか見えにくい。参加者に移住の意思を確認することはしないため、本人が神戸市に移住したかは報告がないと分からない。市はこれまでの取り組みを総括し、来年度以降の実施を判断する。
東海大文学部の河井孝仁教授(行政広報論)は「神戸の魅力を伝える語り部を増やす、という意味では効果が期待できる」と評価する。実際に住んでみた人が口コミやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信する方が効果があるからだ。
一方で「どんな人に移住してもらいたいのか、ターゲットをもっと明確にすべきだ。サービスを手厚くするだけでは“お客さん”が増えるだけで移住者の増加にはつながらない」と指摘している。