海外でも今年春、ロンドンの空港で旅客機に強力なレーザー光線が照射され、副操縦士が右目の網膜をやけどした。周辺ではレーザーポインターとみられるレーザー照射事案が、たびたび報告されていたという。あるパイロットは「犯人の目的は一体何なのか。命にかかわる重大な問題だ」と憤る。
経済産業省などによると、国内では販売されるレーザーポインターは消費生活用製品安全法により、出力約1ミリワット以下とされる規格(危険ランク2以下)を満たす製品だけ。光の到達距離は約200メートル程度で、通常の使用では目視しても、負傷することはないという。
関西上空で今年10月、飛行中の大阪(伊丹)空港行き全日空機など複数便に緑色のレーザー光が照射された事件では、レーザー光が当てられた場所が地上300メートル上空だったため、ランク3以上の高出力製品が使用された可能性がある。大阪府警が威力業務妨害容疑で捜査しているが、ランク3以上の製品は、海外サイトを通じて購入したり、個人輸入したりして違法性なく所持することが可能なのが実態だ。