こうして生産規模や生産効率を上げるとともに、ツナドリーム五島の高橋取締役は「和牛のように血統の選択育成を通して、早く成長して味の良いマグロをつくることもできる」と意欲をみせる。高橋取締役は自分たちを羊飼いや牛飼いになぞらえて“マグロ飼い”と呼び、生産効率や品質の向上に絶えず取り組んでいるという。
近年、近大マグロを使った料理を提供する近畿大学の養殖魚専門店が大阪・キタと東京・銀座で人気を博しているが、まだまだ魚など「天然モノが良質」という固定観念が根強い。
とはいえ近大マグロを百貨店のイベントなどで握った経験のある東京・銀座の老舗すし店「銀座久兵衛」店主、今田洋輔さんは「天然モノと比べて泳ぎが足りないのでひと味違うが、脂が乗ってトロ好きの方なら満足されると思う。天然モノに混ぜて出しても分からないかもしれない」と話すなど、味については一流の料理人からの評価も受けている。