地方や首都圏郊外にある店舗の売り場面積の縮小や業態転換などを検討している三越伊勢丹ホールディングスは、3月末をめどに具体的な店舗を公表する方針だ。大西洋社長の決断が近づくのを前に、リストラが取り沙汰される店舗の周辺では地域経済への影響を心配する声が上がっている。
「地元の不安を解消するため市長に要望書を出した」。千葉県の松戸商工会議所の中山政明会頭が明かした。伊勢丹松戸店は昨秋、大西氏が構造改革の候補に挙げた店舗の一つ。中山氏は「縮小も困るが、万一撤退となればダメージは大きい」と話す。
松戸店は、東京駅まで約30分という近さがあだとなり、都心の百貨店に客を奪われてきた典型的な郊外店だ。要望書では、店に客を呼び込むには周辺の歩道整備などが必要と訴え、間接的に店の存続を求めた。
大西氏は「小売業全体の売り上げは130兆円前後で推移しているのに、売り場面積はこの10年で2倍になった」と強調する。人口減少やネット通販の拡大が追い打ちをかけ、特に地方店や郊外店の採算悪化は深刻だ。
すでに三越の千葉店(千葉市)と多摩センター店(東京)の3月閉鎖を決定。大西氏は松戸店とともに伊勢丹府中店(東京)、三越の広島店(広島市)と松山店(松山市)も縮小などの検討対象として名前を挙げたが、その後、東京都心の旗艦店を除く全店舗を「見直し対象にする」と軌道修正した。