こうして、小型EVではなくEVスポーツカーでいこうと決断し、松重教授の了解も得た。
2010年4月、大学院生2年の時に、松重教授を特別顧問(現社外監査役)にグリーンロードモータース(現GLM)を設立。と言っても当初はプロジェクトメンバーや小間の友達がゆるいつながりで参加し、サークル的なノリで始めた。しかし、小間はコマエンタープライズを創業メンバーに譲り、自らは退路を断って、EVに人生をかけた。
予算もなければ自動車業界について何も知らない小間は、大手自動車メーカーにいきなり「一緒にEVスポーツカーを作りましょう」と声を掛けたり、大手電機メーカーに「電池を提供してほしい」と頼んだりして、あきれられた。当然、門前払いだ。
だが、そのときにEVスポーツカーを作るためのエンジニア募集で、元トミタ夢工場に勤めていた男がやって来た。彼に聞いてトミーカイラZZのことを知り、さっそく冨田を訪ねた。すると、ちょうどブランド販売権が冨田に戻ったばかりだった。トミーカイラZZをEVとして復活させようという小間の提案に冨田も乗り、冨田が持っていた車を使ってEVにコンバージョンした。ところが、テスラ・ロードスターの加速性能を期待していた小間は愕然とする。「チョロQ並」の性能だったのだ。
「甘く見すぎていました。そこで、全て一からやり直すことにしました。後は目標を設定しながら1歩1歩着実に進んできました。それがかえってよかったのかもしれません」