トミーカイラZZは、京都のトミタ夢工場創業者の冨田義一が開発したスポーツカーで、1997年に発売開始し、99年までに206台が製造販売された。当時、イギリスで生産され日本に逆輸入された。同社は2003年に倒産し、幻のスポーツカーと呼ばれた。小間はこの冨田と出会って、その姿の美しさや冨田の想いと車名・ロゴマークを引き継ぎ、EVとして内部から外観まで新たに開発した。冨田は現在、同社の社外取締役だ。
神戸生まれの小間だが、EV開発では京都にこだわっている。冨田が京都で始めたように、小間は舞鶴市にある小阪金属工業という部品加工メーカーを委託生産の拠点とし、サプライヤーから集めた部品を専属スタッフが加工、組み立てし、出荷する。
当初、京都に集積する電気部品メーカーの協力を得ながら開発を進め、現在では大手メーカーも含めて100社以上のサプライヤーとネットワークを組み、生産している。まさに国産EVである。産業用ロボットなどを作る大手電機メーカーの安川電機とは資本・業務提携し、モーター・インバーターの共同開発も行っている。
プラットフォーム販売のビジネスモデル
2016年12月にトヨタ自動車が、EV開発の社内ベンチャーをグループから集めた4人の社員で発足させたと話題になった。
「それより、うちの方がエンジニアの数が多い。トヨタに負けていませんね」と、小間は笑い飛ばす。GLMのエンジニアは現在12人。確かに負けていない。しかも、その顔ぶれを聞くと驚く。
技術本部の本部長である藤墳(ふじつか)裕次は、トヨタのレクサス部門で7年間、車台の設計を担当した課長だったが、小間の試みを知った2010年にGLMのホームページから「入社したい」とメールを送った。当然、同僚や周囲、親も反対した。藤墳は給料が3分の1に減っても、車全体を一から作りたいと2011年に入社した。