■基盤整備・大型投資の成果引き出す
--中国の過剰生産で海外市況が低迷している
「それ自体は以前からのことなので、価格が回復していないことに驚きはない。ただ(米国などが反ダンピング課税を相次いで課して)ここまで保護貿易主義が台頭してくるとは思わなかった。これだけ大量に中国の鋼材が出回ると、そうした動きが出てこざるを得ない。価格についても、もっと回復すると思っていた」
--中国政府は昨年だけで4500万トンの粗鋼生産能力を減らしたと強調している
「中国はここ4年間、年8億トン以上の生産を続けており、まったく減っていない。重要なのは今年以降だ。中国は2020年までに1億~1.5億トンを減らすといっているが、(能力削減は)緒に就いたばかり。動向を注視していく必要がある」
--昨年夏以降、原料炭の価格が高騰している
「予想外の出来事で驚いた。価格高騰は中国が構造調整のため炭鉱の操業を政策的に減らし、調整が進まない鉄鋼との差が広がっているためだ。高騰分の製品への価格転嫁は非常に難しいが、(自助努力の)コストダウンだけでは吸収しきれない。鉄鉱石や、亜鉛などの副原料も上がっている。需要家にとっても(2万円を超える値上げの)受け入れは非常に大変だと思うが、鉄鋼が産業として残るための最低限のお願いだ」