■生産集約終了 浮上きっかけつかむ
--昨年の鉄鋼業界は厳しい環境が続いた
「2017年3月期の業績予想を2度下方修正したことが(苦境を)物語っている。粗鋼生産量は戻りつつあり、自動車生産は熊本地震(による影響)から回復し、住宅向けも増えている。五輪需要も見込まれる。一方で、中国の過剰生産による市況低迷が続き、夏からは原料炭の価格高騰という強烈な現象が加わった。コストが増える分、製品価格に転嫁しないと苦しい」
--生産再編を急いでいる。
「18年3月までに神戸製鉄所の高炉を休止し、上工程を同じ兵庫県の加古川製鉄所に集約する。加古川では新設備を導入し、競争力の向上にも取り組んでいる。計画は遅れなく進んで、設備は完成に近づいている。これで上工程の競争力は高まるので、あとはコストダウンや下工程の最適な生産に取り組んでいく」
--鉄鋼事業で他社と提携する可能性は
「今は考えていない。事業を分割して他社といっしょにしても、規模が小さいので吸収されてしまう。鉄とアルミを接合し、燃費規制の強化で軽量化ニーズが高まる自動車向けに納めるなど、(自社内で)事業同士のシナジーを追求していく。鉄とアルミの組み合わせは昨年秋ぐらいから具体的な提案をしており、自動車メーカーの反応も良くなっている。昨年4月に始動した中期計画では、鉄やアルミを含む素材で1000億円規模の戦略投資を盛り込んでいるが、今年のどこかのタイミングで投資判断することになりそうだ」