エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングがセブン&アイ・ホールディングスと資本業務提携を決めたのは、流通業界を取り巻く厳しい事業環境を勝ち抜くためだ。少子高齢化による市場の縮小に加え、競合となる郊外の大型商業施設(SC)の立地が相次いでいる。H2Oは店舗承継により、これまで強固な経営基盤を築いてきた阪急、阪神沿線を中心とする北摂・阪神エリアの顧客の囲い込みを強化し成長戦略を描く。
H2Oはセブン&アイ傘下のそごう神戸店(神戸市)、そごう西神店(同)、西武高槻店(大阪府高槻市)の3店舗を承継することで、「ドミナント戦略」を推し進める。H2Oの鈴木篤社長は「(当社が考える)ドミナントエリアの中にあり、当社を知らない人はいない。3店は改善すれば、今必ず秘めているポテンシャルを発揮できる」と承継に自信をみせた。
H2Oはこれまで郊外型店舗の運営には一定の実績を持つ。傘下の阪急阪神百貨店は西宮阪急(兵庫県西宮市)、千里阪急(大阪府豊中市)、川西阪急(兵庫県川西市)などを運営。業界他社の郊外型店舗が苦戦する中、平成28年3月期の各店の売上高はほぼ前期並みの水準を確保した。承継する店舗でもこれら阪急沿線でのブランド力や、独自の商品政策などのノウハウを生かし活性化させる狙いだ。