イトーヨーカ堂やユニーといった総合スーパー(GMS)の相次ぐ閉店ラッシュを好機と捉え、“虎視眈々(たんたん)”と閉鎖物件を狙うのが、ディスカウントストア大手のドンキホーテホールディングス(HD)だ。業績不振で撤退した店舗を改装して入居する「居抜き」と呼ばれる手法でローコストの出店を果たしつつ、独自の商品展開で集客力を強化し、売上高や利益を伸ばしている。2016年6月期の業績は売上高7595億円、店舗数341店。中期的な目標とする20年度までの売上高1兆円、店舗数500店の達成に向け、閉鎖店舗をのみ込みながら再生し、成長していく同社の今後の動きに注目が集まっている。
“うれしい悲鳴”
「われわれにとってまさに千載一遇のチャンスが訪れている。いろんな会社から直接、居抜き物件の相談は毎日のようにひっきりなしにある」。ドンキホーテHDの大原孝治社長は“うれしい悲鳴”を上げる。
消費者の嗜好(しこう)の多様化や専門店の台頭もあって、食品から衣料品、雑貨などを幅広くそろえるGMSは各社とも苦戦が続いている。
閉鎖店舗の地主や、撤退による市街地の空洞化を嫌う地域住民らにとって、跡地に出店するドンキは引っ張りだこだ。かつては深夜営業が地元住民から敬遠され、出店反対運動が起きたこともあったが、隔世の感ともいえる。