昨年9月11日の経済財政諮問会議で、スマートフォンなど携帯電話の通信費の増大が消費拡大の阻害要因として問題となった。安倍晋三首相は「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である」として、その場で高市早苗総務相に解決を指示した。これを受けて総務省が動いた結果、料金は逆に実質的に値上げとなる、大変おかしな事態となっている。
総務省は安倍首相の指示を受けて昨年10月から12月まで、携帯電話の料金に関する研究会を開くなどして、問題解決を探った。その結果、(1)ライトユーザー向けなどで月額5000円を下回るような低料金プランを大手通信事業者に検討させる(2)特定の利用者だけに恩恵がある「0円端末」を生む高額な端末購入補助を事業者にやめさせる(3)格安スマホ事業者の参入を促して競争を促進する-などの方針がまとまった。
これを基に総務省はNTTドコモなど大手事業者に、低料金プランの導入を促す一方、スマホの過度な割り引きを監視し、やめさせる態勢を取った。4月には「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を運用開始。NTTドコモとソフトバンクが行った割引キャンペーンをやめるよう行政指導した。両社は指導を受け入れ、その後はKDDI(au)も含めて、大安売り的なキャンペーン自体を自粛する方向となった。