自動車は幸い、巨大な装置産業ゆえに参入障壁が高いため、家電のようにはならないですんでいる。
豊田社長は白物家電的なクルマづくりだけをやっていては将来、付加価値低下は避けられないとみている。それが「もっといいクルマをつくろうよ」という言葉の真意であり、レクサスをブランドづくりの尖兵という存在に位置づけているのだ。
2012年、北米向け高級車レクサスESのラインオフ(生産開始)式で、豊田社長は「レクサスを、本物を知るお客様が最後に選ぶものにしたい」と語った。これは世界の名品と目される高級車と対等以上の存在を目指すという宣言だ。ブランド創立50周年に向け、レクサスはこの困難な目標に向けたチャレンジを開始している。
(文中敬称略)
(ジャーナリスト 井元康一郎=文)(PRESIDENT Online)