富永さんは、地元の高校を卒業後、「体を動かす仕事がしたい」と昨年4月に同製鉄所へ入社。3カ月の研修を経て、液化天然ガス(LNG)タンクなどに使う鋼板を作る厚板工場へ配属された。クレーン操作以外にも、出荷前の鋼板が曲がっていないか検査する最後の工程を任され、男性従業員と同じく夜間勤務をこなす。
「以前は尻込みしていたが、ものすごく成長している」。指導役を務める羽生光さんはそう言って目を細める。羽生さんは現場を知り尽くす勤続46年の大ベテランだ。
鹿島製鉄所では、5年前まで事務職以外の女性がゼロに等しかった。それが今や82人まで増え、うち半数が夜間勤務に従事している。製鉄所全体で3000人の現場作業員がいることからすればまだまだ少ないが、その数は着実に増えている。
新日鉄住金は鹿島製鉄所に限らず、女性採用を全社的に増やしてきた。今年4月に入社した現場作業員1420人のうち、女性は228人と10%を超える。