工業分野で高い技術を持ったメーカーが、新しい市場を求めてこれまでになかった製品を送り出す。長年培った技術を使って、伝統工芸の工房が新しい分野に進出する。次代を見据えたこうした取り組みは、激変する社会を企業や働き手たちが生き延びる上で、ひとつの指針となりそうだ。
国内外から最新の雑貨が集まる見本市の第81回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2016。その中に設けられた「ACTIVE CREATORS(アクティブクリエイターズ)」というコーナーに、クールで硬そうな質感を持ったアルミニウムと、暖かさや柔らかさがにじみ出るレザーという、印象も手触りも違った素材を組み合わせたカバンが並んでいた。
手掛けたのは、スチール製の工具箱で知られる東洋スチール(大阪府東大阪市)という会社。自社の製造技術をいかしながら、これまでにないアイテムを送り出そうと立ち上げた「KONSTELLA(コンステラ)」ブランドの第1弾製品だ。ビジネスシーンをサポートする道具箱、という位置づけを持たせたブランドで、見本市では3種類のカバンを提案していた。