最後まで決断できなかった“罪深さ” シャープ経営陣の迷走を振り返る (4/6ページ)

2016.4.4 12:55

記者会見中、紙コップ入りの水で乾杯する(左から)鴻海精密工業の戴正呉副総裁、郭台銘会長とシャープの高橋興三社長=2日午後、堺市

記者会見中、紙コップ入りの水で乾杯する(左から)鴻海精密工業の戴正呉副総裁、郭台銘会長とシャープの高橋興三社長=2日午後、堺市【拡大】

 昨年には、迷走ぶりを象徴する「前言撤回」があった。液晶について5月の会見で「分社化の考えは全くない」と強く否定していたが、7月に高橋社長は、「環境が変わってきている。液晶を核にするだけでは苦しい」と述べた。

 分社化と外部資本の受け入れ検討の突然の表明に、シャープの地元大阪の吉本新喜劇だったら、会見に参加していた約200人の記者は皆、ズッコケたかもしれない。「読みが甘いといわれたらそれまで。固執するのはよくない」と釈明したが、会見場には白けムードが漂ったという。

 今年に入り、支援に名乗りを上げていた革新機構と鴻海、いずれの支援案を受け入れるか、という極めて重大な決定が、「決められない」シャープ経営陣に委ねられるという皮肉な成り行きになった。そして2月4日-。機構案を選ぶという大方の予想は覆され、決定は先送りされた。ただ、高橋社長が会見で「より、リソースをかけて検討している」というわかりにくい表現で鴻海の優勢を示唆しただけだった。

この時、高橋社長は事実上、決定権を失っていたようだ

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