台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が経営再建中のシャープを買収する契約の締結が、当初予定よりも1カ月近く遅れている。鴻海がシャープの業績見通しに懸念を抱き、主力取引銀行に追加的な金融支援を求めているためだ。交渉は難航しているもようで、関係者の間には疲弊感も漂う。
「早くしないと、商売が止まる恐れもある。普通はすぐに契約するものだ」。17日、シャープ幹部の一人は不安げに話した。
関係者によると、シャープの取引先の一部は鴻海の傘下入りを前提に取引に臨んでいる。交渉が長引けば、部品の納品遅れや数量の制限といった事態を招きかねないという。
シャープと鴻海による合意発表は当初、シャープが傘下入りを決めた翌日の2月26日に設定されていた。だがシャープが同月24日に鴻海に送った、将来顕在化する恐れのある債務「偶発債務」のリストが問題視され、契約が延期された。
偶発債務は当初、最大で3000億円以上とされたが、鴻海による資産査定の結果、数百億円に収まる見通しとなった。