台湾の鴻海精密工業の戴正呉副総裁は30日、地元の証券取引所で開いたシャープ買収についての記者会見で「これは買収でなく投資だ」と述べた。「買収」という言葉をあえて避け、シャープ側に配慮する姿勢を示した。「(出資額は)両社が決めた合理的な価格だ」とも語った。
緊急の記者会見には50人を超える記者らが駆け付け、関心の高さをうかがわせた。記者会見では「戦略的連携に非常に感激しており、シャープの全従業員との協力にとても期待している」との郭台銘会長のコメントが読み上げられた。
記者会見した戴氏は買収後のシャープに幹部として送り込まれるとみられている。戴氏は用意したメモを読み上げると、質問にはあまり答えず「4月2日の(日本での)会見で答えます」と述べ、足早に会場を後にした。
会見は約10分で終了したが、戴氏の表情には難航した交渉を終えたことへの安堵が読み取れた。(台北 共同)