最後まで決断できなかった“罪深さ” シャープ経営陣の迷走を振り返る (3/6ページ)

2016.4.4 12:55

記者会見中、紙コップ入りの水で乾杯する(左から)鴻海精密工業の戴正呉副総裁、郭台銘会長とシャープの高橋興三社長=2日午後、堺市

記者会見中、紙コップ入りの水で乾杯する(左から)鴻海精密工業の戴正呉副総裁、郭台銘会長とシャープの高橋興三社長=2日午後、堺市【拡大】

 主力行の資本支援を受けるために27年3月に再建策を出したが、「甘すぎる」と突き返された。このため、2月の会見で「社員数に余剰感はない」との前言を翻し、国内で3500人規模の希望退職を募らざるを得なくなり、高橋社長ら経営陣の社内の求心力は急激に低下した。高橋社長は「経営が間違っていなくてこうなるはずがない」と責任を認めたにも関わらず続投。盟友の両副社長も水嶋繁光氏が会長、大西徹夫氏が副社長執行役員に就き、3人とも事実上、経営の中枢に居座ることになった。

 最も問題だったのは、シャープという会社をどのように再生するかというビジョンが示されず、抜本的な構造改革が先送りされたことだ。特に、巨額の投資を継続しないと競争に勝てない液晶事業に関しては、すでに赤字を垂れ流しており、どうやって“止血”するのか、展望が開けなかった。10年ほど前に自社の液晶パネルを組み込んだテレビ「アクオス」を「世界の亀山モデル」として売りまくった“成功体験”を捨てられなかったようだ。

 液晶ではなく、複写機や白物家電など、比較的収益が安定している事業を経験してきた高橋社長。早大ビジネススクールの長内厚准教授は、「シャープの液晶のポテンシャルを熟知していなかったと思われ、『液晶の次も液晶』という楽観的な歴代社長の方針の“呪縛”から解き放たれなかった」と指摘する。

昨年には、迷走ぶりを象徴する「前言撤回」があった

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