多言語対応を武器に、急増する訪日外国人向けのサービスを強化する動きが活発化している。ビジネスホテルを展開する住友不動産ヴィラフォンテーヌ(東京都新宿区)は12日、「上野店」(同台東区)で、英・中・韓国語を活用した地震想定訓練を実施。USENは日本語音声を多言語に自動翻訳するスマートフォン向けシステムを開発し、飲料各社は外国語対応の自動販売機を増やしている。2015年の訪日客の消費額が3兆円台半ばと、14年実績比で1兆円超の大幅増加が見込まれ、年間4兆円の達成も視野に入る中、多言語対応の推進で需要の取り込みを目指す。
安全性強化で差別化
住友不動産ヴィラフォンテーヌは東京都心部を中心に15店舗を展開。訪日外国人の利用者は年々増加しており、宿泊者に占める割合は4割近くに達する。さまざまな国からの宿泊客の安全を確保するため、3カ国語による非常放送などの訓練を実施した。
ビジネスホテル業界では外国人を意識した訓練があまり行われていないだけに、顧客獲得に向けての差別化につながる可能性にも期待。高島務総務人事部長は「訓練を積み重ねることによって、安心に対する経営姿勢が伝わっていけば」と語る。