流通の花形だった総合スーパーが、業績不振の長期化で岐路に立たされている。セブン&アイ・ホールディングスやユニーグループ・ホールディングスは、大規模な閉鎖に踏み切る方針を表明した。対照的にイオンは再生にこだわるが、消費者から与えられた時間はそう長くない。
客離れの悪循環
イオン明和店(三重県明和町)の金沢基史店長は今年3月に赴任し、売り場の厳しい実態を目の当たりにした。明和店は総合スーパーの典型例だ。イオンには、同じような旧来型店舗が国内に約300店ある。
商品棚は傷んで脚の高さが合わず、ベニヤ板を挟んであった。電気代の節約で天井の照明も2つに1つは消灯。薄暗い店内では、人員を減らされパートらが殺気立っていた。
業績が悪い店舗は改善したくてもなかなか投資を認めてもらえない。「売り場の魅力が低下して客が離れ、採算悪化でさらに魅力を失う悪循環に陥っていた」という。