リコール対応済みだったにもかかわらず、日産自動車のスポーツ用多目的車(SUV)で、タカタ製エアバッグの異常破裂が起きたことは、自動車メーカーがこれまで行ってきた安全対策が不十分だったことを浮き彫りにした。
日産が5月から国内で行っていたタカタ製エアバッグのリコールでは、販売店に持ち込まれた対象車について、エアバッグを膨らませる装置の気密性の点検を実施。不良が認められたものに対し、装置を新品と交換していた。
背景には、タカタ製エアバッグのリコールの対象車両が全世界で5000万台を超え、交換部品の供給が間に合っていないことがある。日産は「危険性が高い車両の交換を優先する」ため、こうした手法を取っていたという。
だが今回、リコール対応済みの車両でエアバッグの異常破裂が起きた衝撃は大きい。いまだタカタが根本的な原因を特定できていない中で、再び被害が発生する可能性は否定できないためだ。
そもそも日産は国内や欧州と異なり、米国では米道路交通安全局(NHTSA)の指示もあり、対象車両すべてで新品への交換を行っていたという。