横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、建設・不動産業界は業界全体の信頼性が揺らぎかねないと危機感をあらわにしている。業界団体は22日、再発防止策に向けた対応策を相次ぎ発表した。国土交通省も建築の信頼性に影を落としかねないとして、再発防止の取り組みを急ぐ考えだ。
「官民一体で対応する必要がある」。日本建設業連合会(日建連)の山内隆司副会長(大成建設会長)は、今回の問題を受けてこう訴える。
日建連は22日、旭化成建材の施工工事について、会員企業が国交省の調査に必要な対応方針を作成するほか、再発防止に向けてくい施工の管理体制や施工記録をチェックするための指針を整備することなどを確認した。不動産協会も同日、調査に必要な協力を行うよう会員企業に通知した。
危機感の背景には、拡大を続けてきた市場の減速もある。日建連調査では、8月の建設受注額(海外含む)は9640億円で、前年同期比17.8%減。4~8月の累計でも6.9%減だ。景気動向に足踏みがみられる中、今回の問題をきっかけとする「信用不安の拡大は避けたい」(山内副会長)との焦燥感が強い。
国交省も建築基準法に基づく検査や報告のあり方を見直すことで、業界の地盤沈下を食い止めたい考え。だが、具体化には検査費用や人員負担がネックとなる可能性もあり、山本順三副大臣は22日の記者会見で「情報を得た上で検討する」と述べ、慎重に対処する考えを示した。