三井不動産グループが販売した横浜市都筑区のマンションが施工不良で傾いている問題で、三井側が住民と協議を進めているマンション全棟の建て替えなどを実施した場合、300億円超の費用負担が生じるとの試算を民間の不動産コンサルティング会社がまとめた。今後の業績への影響は避けられない見通しだ。
不動産コンサルティング事業を手がけるさくら事務所が、過去の同様事例を踏まえて試算した。三井不動産が4棟あるマンション全棟を建て替えた場合のコストは、マンションの立地や設備に変更がないと仮定した場合、1坪当たり約130万円となり、4棟全体では計約280億円まで膨らむと見込まれる。
加えて、三井不動産は住民に配慮し、物件買い取りや建て替え完了までの仮住まい費用負担に応じるほか、資産価値の目減りに対する補償も検討している。同マンションは約700世帯分で、仮に3年後に全世帯が建て替え物件に入居した場合でも、追加負担は計約40億円。買い取りなどでさらにコストが膨らめば、最終的な費用負担は300億円を大きく上回る可能性が高い。