横浜市都筑区のマンションが傾いている問題で、くい打ち施工を請け負った旭化成建材は22日、過去約10年間にくい打ちした全国3040件の概要を国土交通省に報告し、公表した。データ改竄(かいざん)した男性の現場管理者が関わったのは41件で、1都8県に及ぶ。施設名は明らかにしなかった。都道府県別でみると、北海道が最多の422件。和歌山県と沖縄県はなかった。用途別では、集合住宅が696件で最も多かった。
旭化成建材の堺正光取締役常務執行役員は記者会見で「過去の施工について全国の皆さんに不安を与えていることをおわび申し上げます」と謝罪。施設名を公表しなかった理由については「高度な配慮が必要なため」と述べた。
報告資料によると、都道府県別で北海道に次いで多かったのは東京都の356件、大阪府の262件の順。男性管理者が関わった物件では、愛知県が23件で最も多く、中京地区だけで8割を超える。
用途別では、工場・倉庫が2番目に多く560件。次いで学校・幼稚園・保育園が342件。病院や介護施設、自治体の庁舎、消防署、駅、空港、橋梁(きょうりょう)なども含まれる。男性管理者が関わったのは、集合住宅が最多で13件だった。
調査は旭化成建材の社員ら約150人が紙の図面を目視で精査。男性管理者が関わった41件を優先する。
所有者などには対象となっていることは知らせず、調査で不正が見つかった場合には、施工主や管理組合に伝える方針。所有者側からの問い合わせにも回答しない。
調査対象は平成16年1月にくい打ち施工が完了した物件から10年間。男性管理者は約3年前に担当が変わったという。
この問題では、男性管理者が、地盤の強度やくいの先端を補強するコンクリート量のデータの管理ミスなどを隠すため、3棟で計70本のくいのデータを改竄。うち8本でくいの深度が不十分だった。横浜市が建築基準法違反の疑いで、国交省が建設業法と宅建業法に抵触する疑いがあるとみて関係した業者を調べている。