法整備など必要
自動運転では交通状況を把握して最適な判断を下すAIや、車両の位置を確認する高精度な地図ソフトが欠かせない。トヨタはAIの研究を強化するため米マサチューセッツ工科大などと協力。アウディやBMWなどドイツ勢は、共同でフィンランドのノキアのデジタル地図事業を買収することを決めた。外部の技術を活用する動きも進んでいる。
乗り越えるべき課題は少なくない。どんな環境でも正常に作動する精度に加え、車のハッキング対策などセキュリティー強化は不可欠だ。現在は事故が起きた場合は運転手の責任になるが、完全な無人運転が実現すれば法整備なども必要になる。
自動運転車に寄せる期待は大きい。居眠りなど人間のミスによる事故の防止や渋滞緩和のほか、過疎地域や高齢者などの新たな移動手段にもなる。AIは車だけでなく、ロボット技術などへの活用も考えられる。
このため、政府も国家戦略特区プロジェクトとして神奈川県での自動運転タクシーの実証実験などに乗り出し、今月4日には安倍晋三首相が20年東京五輪までの自動運転車の実用化を表明した。官民一体で自動運転の開発を進め、日本の産業競争力強化につなげる。(田村龍彦)