三菱重工業は8日、都内で事業戦略説明会を開催した。航空機事業などを手がける交通・輸送ドメイン最高経営責任者(CEO)の鯨井洋一副社長執行役員は「2018~20年度に(同ドメインの)事業規模1兆円超、営業利益1000億円超を目指す」方針を明らかにした。
18年度以降は、主要部品を提供する米ボーイングの最新航空機や国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の量産が本格化し、収益の拡大が見込まれる。工場の自動化などでコスト削減にも取り組み、利益率を高める。また、海外では鉄道の交通システム需要が高まるとみられ、膨大な情報を処理する「ビッグデータ」を活用するサービス展開などで受注拡大を目指す。
一方、10月に分社化する造船事業について、鯨井副社長は「再構築の方向で続ける」と述べ、受注活動を継続する意向を示した。同事業では大型客船の建造で2年間に計1300億円の特別損失を計上している。
原子力や火力などのエネルギー・環境ドメインは、17年度に受注額を2兆3000億円、売上高を2兆円、営業利益を2400億円に引き上げる。日立製作所の火力事業と統合した三菱日立パワーシステムズとのシナジー効果を見込むほか、新規事業を伸ばしていく。