【クルマの未来 EVの逆襲】(下)非常時に電源、新しい価値
■スマートタウンなど用途拡大カギ
岐阜県飛騨市の神岡鉱山。地下200メートルで建設が進む大型低温重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」は、重力がもとになって生まれる宇宙からの波動「重力波」を人類史上初めて直接検出する取り組みだ。1辺3キロに及ぶ広大な地下トンネルの移動には、日産自動車の商用電気自動車(EV)「e-NV200」が使われている。
東京大学宇宙線研究所の三代木伸二准教授は「トンネルという閉鎖空間では人間に有害な一酸化炭素や二酸化炭素(CO2)を出さない乗り物が必要だった」と導入理由を説明する。
日産が昨年10月に発売したミニバンタイプのe-NV200は乗用車タイプの「リーフ」と異なり、研究装置など多くの荷物が積める。車体にあるコンセントを使えば、夜間の道路工事で照明用電源としても使用でき、トンネル内でも機器の電源として活用されるという。
日産の片桐隆夫副社長は「新しい価値を提供し、お客さまの満足に貢献したい。他社も投入し、EVカテゴリーは勢いを増している」と自信を見せる。